名探偵コナン★第126話: 旅芝居一座殺人事件(前編)(1998年11月9日)
あらすじ
蘭の通うクラスに、旅芸人の二代目座長である伊東玉之助が新たに加わる。彼女と少年探偵団、そしてコナンは、通し稽古を見ている最中、座付作家の近石鉄夫が舞台裏で刺されて命を落とす現場に遭遇する。初日の前日、観客の目を逃れたまま行われたこの凶行は、稽古場の鍵の配置や、混入された台本のメモから見ても完璧な犯罪に思えた。しかし、舞台裏での動きや座員たちの発言には矛盾が生じていた。コナンは、演出と同様に巧妙なトリックの分析を行い、座員の中に潜む真の犯人を追い詰めていく。
みどころ
本作の最大の魅力は、劇場という閉鎖的な空間で展開される“劇中劇”の不気味なミステリーである。通し稽古を控えた座員たちの疲労感や、舞台装置の複雑な配線、狭い楽屋の通路を逆手に取った巧妙な犯行手口が、視聴者の注意を引きつける。さらに、玉之助と近石の間にある確執や、経理担当の糸江、めぐみの神秘的な行動、子役でありながら鋭い洞察を持つめぐみとコナンのやり取りなど、深い人間ドラマがサスペンスにさらなる深みを与えている。一座の絆と裏切りが交錯する舞台裏は、緊張感に満ち、一瞬の油断も許さない状況が続く。
ゲストの声優
– 伊東玉之助:保志総一朗(1972年5月30日生)
– 伊東めぐみ:あきやまるな(1954年4月17日生)
– 村木龍一:成田剣(1964年5月18日生)
– 白井ゆり:大原さやか(1975年12月6日生)
– 荻原糸江:伊倉一恵(1959年3月23日生)
– 田島健三:鈴木泰明(1935年3月9日生)
まとめ
旅芝居一座の華やかな通し稽古が一瞬にして変わり果て、舞台裏の狭い導線や仕掛けられた台本の罠が凄惨な殺人トリックを浮かび上がらせる本作。伊東玉之助と近石鉄夫の確執、経理の糸江やめぐみの不審な行動が絡み合い、コナンは舞台装置や配線、楽屋の鍵の位置関係を手がかりに推理を進めていく。演劇の舞台裏という“劇中劇”の密室に潜む恐怖と、人間模様の奥にある真実が交錯し、後編への緊張感を最大限に高める。シリーズの中でも特に印象深い“舞台ミステリー”の序章として、観た者の記憶に残り続ける前編となっている。
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