名探偵コナン★第303話 戻ってきた被害者:2002年12月9日
曙町で繰り返される空き巣事件を調査するコナンたち。しかし、調査の最中に、かつて姿を消した被害者・細野早苗が「戻ってきた」と叫び声を上げる。ソファの中に隠されていた老女の遺体、停止した腕時計、そして隣人の不可解な証言──。続発する空き巣と並行して浮かび上がる殺人の真相に、コナンの鋭い推理が冴えわたる!
あらすじ
曙町にバスで到着したコナン、歩美、元太、光彦は、空き巣事件の手がかりを求めて住宅街を探索していた。その時、マンションの402号室から悲鳴が聞こえてきた。部屋に入ると、細野早苗が驚愕し、ソファを指さしていた。コナンが内部を確認すると、老女の他殺体が発見され、腕時計は2時45分で止まっている。早苗は「昨日の夜から自宅にいた」と主張するが、刑事たちは彼女に疑いの目を向ける。さらに、家具の配置や隣人・徳永和弘の証言に矛盾が見られ、コナンは壊れた時計と配達記録を基に死後の推定時刻を導き出し、空き巣と殺人の背後にある真の動機に迫っていく。
みどころ
本エピソードの最大の魅力は、事件現場に「戻ってきた」被害者の演出が引き起こすミスリードと、それを論理的に打破するコナンの推理にある。ソファ内部での遺体発見シーンは緊張感を生み出し、停止した腕時計が後半の伏線として機能する。隣人のアリバイ証言と配達時間の不一致を対比させるカット割りは、視聴者にも違和感を感じさせる巧妙な構成となっている。また、少年探偵団の子供たちが自主的に捜査するシーンは、シリーズの特徴である和やかさと緊迫感が共存し、大人に劣らない活躍を見せる。
ゲストの声優
– 細野早苗(ほその さなえ):潘恵子(1960年9月19日生まれ)
– 徳永和弘(とくなが かずひろ):清川元夢(1952年12月30日生まれ)
– 日野正照(ひの まさてる):塩屋浩三(1944年1月14日生まれ)
– 広瀬利通(ひろせ としみち):佐藤正治(1956年5月18日生まれ)
スタッフ注目ポイント
作画監督の工藤柾輝と演出の菊池一仁は、暗闇の中に浮かび上がるソファと遺体という視覚的な衝撃を強調している。脚本の扇澤延男と突廻匡隆は、空き巣と殺人を同時に進行させることで物語に深みを持たせ、時計の停止時刻をキーにした推理の展開が見事だ。絵コンテを担当する広嶋秀樹は、家具の微細な傾きや郵便配達員の一瞬の動きを見逃さないカットを配置している。劇伴では静寂を強調したピアノの断奏が効果的に用いられ、シーンの緊張感が一層引き立てられている。
まとめ
「戻ってきた被害者」というミスリードを時計や家具の配置を通じて論理的に解明する鮮やかな構成が魅力的だ。空き巣と殺人の二重構造が巧妙に絡み合い、コナンの洞察力が光る傑作となっている。時計が刻む真実を見逃さないように!
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