名探偵コナン★第329話 お金で買えない友情（前編）：2003年7月28日

あらすじ

大学生の小島由貴の自宅で、沢口圭子の誕生日と留学を祝うパーティーが開催されました。この場にはコナン、蘭、小五郎も招待され、乾杯の際に注がれた高級ワインを圭子が一口飲んだ途端、彼女は苦しみ始めます。ロウソクの火が消え、周囲が暗闇に包まれる中で、圭子は命を落としてしまいます。照明が復旧すると、彼女のグラスには明らかに毒が混ざっていたことが分かりました。警察は隣に座っていた野中一樹を疑いますが、コナンはワインの入れ替えが行われた経路やロウソク消灯の瞬間に犯行が実行されたことを突き止めます。テーブルクロスを掴んだ富樫順司、グラスを渡した由貴、運んだ野中の中で、暗闇で動けるのは誰だったのか。コナンは光るダイオードの点灯タイミングやグラスの持ち替えの順番から真犯人を見抜きます。

みどころ

このエピソードの最大の魅力は、暗闇を利用したトリックとコナンの鋭い観察力です。ロウソクが消えた4秒間に、ワイングラスを狙う犯人の動きを、微細なガラスの反射や手のシルエットを通じて見事に浮かび上がらせるカメラワークは見どころ満載です。また、富樫の無意識的な動作や、由貴から野中、そして圭子へと続くグラスの流れを並行して編集することで、視聴者に推理の手がかりを提供しています。暗転後の静けさと照明が復旧した後の騒がしさを対比させた脚本の構成も見事で、シリーズの中でも特に印象に残る科学的トリックの回となっています。

ゲストの声優

– 小島由貴（こじま ゆき）：金月真美（かねつき まみ） – 1976年7月7日生まれ
– 沢口圭子（さわぐち けいこ）：江森浩子（えもり ひろこ） – 1965年8月27日生まれ
– 野中一樹（のなか かずき）：目黒光祐（めぐろ こうすけ） – 生年月日非公表
– 富樫順司（とがし じゅんじ）：津久井教生（つくい のりお） – 1965年10月7日生まれ

スタッフ注目ポイント

作画監督の村中ひろびは、暗転前後のテーブル上の反射やロウソクの炎を緻密に描写し、暗闇トリックの鍵となるガラスの輝きを強調しています。脚本を担当した山田豊は、乾杯から暗転、そして毒の発動までを約1分のワンカットで演出し、緊迫感を持続させる構成を実現しました。演出の大庭秀昭は、暗転中の残響音と無音カットを交互に挿入し、視聴者に見えない時間を体感させる工夫をしています。絵コンテを担当した三家本泰美によるグラスの受け渡しシーンの細やかなズームとパンが、犯行の機会を巧妙に隠すトリックを支えています。

まとめ

暗闇に紛れた毒の盛られたワインを、ガラスの反射と動作の順序のズレで暴いた名推理のエピソードです。乾杯から暗転、復灯までの数秒の中に隠された伏線を改めて確認し、コナンの科学的な観察力を楽しんでください。